夢を叶える呼吸法の真実|現実を直視すべき理由|夢を叶える7つの呼吸法 心の足かせをはずして自分らしく生きるメソッド :レビュー

書評

心の足かせを疑う視点

「心の足かせ」って本当にあるの?

要は、「心の足かせを外せば夢が叶う」みたいな話なんですけど、それってそもそも「心の足かせ」とかいう概念が存在している前提で話してるわけですよね。でも、僕が考えるに、ほとんどの人は「足かせ」なんてものを自分で作ってないんですよ。単純に、才能がないとか、努力が足りないとか、向いてないことを続けてるだけなんですよね。

だから、「心の足かせを外せば人生が変わる」っていうのは、ある種の自己啓発ビジネス特有の、努力不足を自分のせいじゃないことにして安心させる方便なんじゃないかなって思うんですよ。結局、現実はそんなに甘くないわけで。

潜在意識へのアクセスって要は自己暗示ですよね

潜在意識とか顕在意識とかって、心理学では確かにそういう理論があるんですけど、でも実際のところ「潜在意識にアクセスする」って、要は自己暗示なんですよね。深呼吸して、イメージして、ポジティブな言葉を使うとか、別にそれ自体は悪いことじゃないですけど、科学的に見たら「脳をだます」ってだけの話です。

つまり、「夢に近づく」とか「成功に向かっている」とかいう感覚を得るために、自分で自分に嘘をついてるんですよ。で、それが成功するかどうかって、結局は環境とか才能とか、もっとドライな要因に左右されるんですよね。

呼吸法に過剰な期待を持たない方がいい

呼吸で人生変わるなら誰も苦労しない

深呼吸して心をリセットとか、まぁリラックス効果はあると思いますよ。でも、それで「人生変わる」みたいな期待を持たせるのって、ちょっと無責任じゃないですかね。だって、呼吸なんて誰でもしてるし、現代社会でストレスフルな人間が深呼吸したところで、ブラック企業がホワイトになるわけでもないし、年収が勝手に上がるわけでもないわけで。

つまり、呼吸法で多少リラックスできるかもしれないけど、結局のところ外部環境が変わらないと根本的な問題は解決しないって話なんですよ。

氣幸って科学的に裏付けされてるんですか?

著者は「氣幸は科学的に裏付けられてる」とか言ってるらしいんですけど、それって具体的にどこの論文なのかとか、どの学会で認められてるのかとか、そういうエビデンスがないと話にならないんですよね。要は、「科学的」って言っとけばそれっぽく聞こえるってだけで、実際には検証が不十分なことがほとんどなんですよ。

だから、「氣幸で心身のパフォーマンス向上!」とか言われても、「ふーん、で、それってどこの研究結果ですか?」って聞きたくなるんですよね。科学っていうのは、再現性があって、誰がやっても同じ結果が出ないと成立しないわけで、個人の成功体験を一般化するのは無理があると思うんですよ。

ビジョン設定の落とし穴

夢をでかくしすぎると現実とのギャップに苦しむ

「未来のビジョンをできるだけ大きく描け」っていう話もあるんですけど、これって逆にリスクにもなるんですよ。要は、でかい夢を描きすぎると、現実とのギャップに耐えられなくなって、むしろメンタルやられるんですよね。

例えば、「年収300万円の人が、年収1000万円を目指す!」ってのはモチベーションになるかもしれないけど、現実には、職業や業界構造を変えないと無理だったりするんですよ。それを無理に頑張ろうとして、できなかったときに「自分はダメだ」とか思い込むのって、すごい不幸なことだと思うんですよね。

結局、現実的な目標をちょっとずつ積み上げる方が、精神的にも健全なんじゃないかなと。

ドーパミン信仰の危うさ

ドーパミンを出して行動を促進しよう、っていうのも、別に脳科学的には間違ってないですけど、ドーパミンって「快楽のために動く」物質なんですよ。だから、短期的な快楽に走りやすくなるっていうデメリットもあるんですよね。

つまり、楽しいことを想像して行動を加速させるのはいいけど、逆に「楽しいことしかしない」っていう習慣になっちゃうと、地道な努力とか、つまらない作業がどんどんできなくなるんですよ。結局、夢を叶えるには地味で退屈な作業を積み重ねるしかないのに、ドーパミン依存みたいになっちゃうと逆効果なんじゃないかなって思うんですよね。

ポジティブシンキングの罠

ポジティブな言葉を使えば幸せになれるわけじゃない

ポジティブな言葉を使えっていうアドバイスもよくあるんですけど、これって要は「自己暗示」なんですよね。今日も夢に近づいてるとか、自分はできるとか言ったところで、現実が追いつかなかったら結局、自己矛盾に苦しむだけなんですよ。

例えば、ブラック企業で毎日12時間働かされてる人が「今日も夢に近づいてる!」って唱えたところで、現実はただの搾取なわけで。そこに気づかずにポジティブな言葉を重ねるのって、むしろ現実逃避を助長するだけだと思うんですよね。

否定的な言葉を「ホメオスタシス」とか言い換える無意味さ

あと、「それ無理だよ」とか言われたときに「これはホメオスタシスだから気にしない」っていう理屈、めちゃくちゃ都合よすぎませんか。要は、耳の痛い意見を全部スルーして、自分に都合のいい世界だけで生きるってことですよね。

でも、現実って、否定的な意見の中にこそヒントがあるわけで。「無理だよ」って言われたら、なんで無理なのかをちゃんと分析した方がよっぽど建設的なんですよ。それを「ホメオスタシスだ!」って言って無視するのは、ただの成長放棄だと思うんですよね。

好きなことに集中すればいいって、本当に?

好きなことだけやって生きられるなら誰も苦労しない

「好きなことを優先して、嫌なことは避けましょう」って話もありましたけど、まあ、それってある意味理想論なんですよね。結局、社会の大半の仕事って、誰かがやりたくないことを誰かが我慢してやることで成り立ってるわけで。

つまり、嫌なことを避けまくってたら、社会的な役割を果たせないんですよ。現実問題、トイレ掃除も、ゴミ収集も、保育士も、介護も、やりたくない人が多いけど、誰かがやらないと社会が回らないんですよね。だから、「好きなことだけやろう」っていうのは、短期的には気分いいかもしれないけど、社会に対して責任を負うっていう大人の感覚を無視してると思うんですよ。

好きなことが向いてるとは限らない問題

あと、「好きなこと」が「向いてること」と一致するとは限らないんですよね。要は、好きなことをやっても、他の人より下手だったらそれってビジネスにならないわけで。例えば、音楽が好きでも才能なかったら売れないし、絵を描くのが好きでもプロのレベルに到達しない人がほとんどなわけですよ。

結局、好きだけど向いてないことに時間を使って、結果が出なくてメンタルやられるっていうパターン、めちゃくちゃ多いと思うんですよね。だから、「好きなことだけやれ!」って無責任に言うのはちょっと危険かなと。

感情の観察ってそんなに万能なの?

感情を観察したところで現実は変わらない

「日々の感情を観察して、ネガティブ感情に早く気づこう」っていう話もありましたけど、感情に気づいたところで、根本的な問題が解決しないなら意味ないんですよ。例えば、上司が理不尽でも「今、怒りを感じている」って気づいたところで、上司が消えてくれるわけじゃないですからね。

要は、感情のマネジメントって、自分をだまして問題を先送りにしてるだけになりがちなんですよ。大事なのは、感情に気づくことじゃなくて、感情が生まれる原因を構造的に解決することなんですよね。

感情の支配を過信すると逆に鈍感になる

さらに、「感情を観察してコントロールできるようになろう」っていうのをやりすぎると、今度は逆に鈍感になるリスクもあるんですよ。要は、本来怒るべき場面で怒らないとか、悲しむべき場面で何も感じなくなるとか。

社会的に成功してる人でも、感情を押し殺しすぎてメンタル壊してる人、けっこういるんですよね。だから、「感情を管理できるのが偉い」みたいな考え方も、ある種の危険な自己暗示だと思うわけです。

「過去の記憶を書き換える」はファンタジー

記憶の改ざんは意図的にはできない

過去の記憶を書き換えて新しい道に進もう、って言ってるんですけど、これも冷静に考えると無理ゲーなんですよね。記憶って、本人が意図して変えられるもんじゃないんですよ。トラウマとか過去の苦い経験って、脳に深く刻まれてるから、ちょっとやそっとの自己暗示じゃ消えないんですよ。

むしろ、「記憶を変えたつもり」になって現実逃避してると、また似たような状況になったときに過去のトラウマが爆発するってパターン、よくあるんですよね。だから、「呼吸法で過去を書き換えましょう!」とか言ってるのを見ると、うーん、ちょっと無責任かなーって思っちゃうんですよ。

教育や経験をリセットするのは現実的じゃない

あと、幼少期の教育とか親の刷り込みとかって、そもそも人格の根っこの部分だから、リセットしようと思っても無理なんですよね。例えば、「一流企業に入るべき」っていう価値観を植え付けられた人が、それを否定するには、かなり強烈な環境変化とか自己変革が必要なんですよ。

それを「呼吸とイメージングでサクッと解決できる」みたいな軽いノリで言われても、いやいや現実そんなに甘くないでしょ、って思っちゃいますよね。

まとめ:夢を叶えるのは幻想ではないけど…

夢を持つのはいいけど現実を見よう

別に、夢を持つこと自体を否定するつもりはないんですよ。むしろ、夢を持って、それに向かって努力するのは素晴らしいことだと思います。ただ、その過程で「心の足かせが外れたらうまくいく」とか、「潜在意識にアクセスすれば何でも叶う」みたいな都合のいい幻想を信じちゃうと、逆に現実とのギャップで苦しむんじゃないかなと。

結局、夢を叶えるって、めちゃくちゃ地味で、面倒で、失敗だらけなプロセスなんですよ。呼吸法もイメージングも、サポートにはなるかもしれないけど、それだけで成功するわけじゃない。努力と現実直視がセットじゃないと、夢なんて実現しないんですよね。

自己啓発はサプリ、メインディッシュは努力と環境適応

要は、この本で語られてる「呼吸法」とか「潜在意識活用」とかって、サプリみたいなもんなんですよ。サプリは飲んでも健康にはならないけど、ちゃんと運動して食生活も整えた上で飲めば、多少はプラスになるかもしれない。

だから、夢を叶えたいなら、まずは現実的な環境を分析して、できることを一個ずつ積み上げていくしかないと思うんですよね。それをせずに、「心の足かせが~」とか「ドーパミンが~」って言い訳してるうちは、結局何も変わらないと思います。

というわけで、深呼吸するのもいいですけど、まずは現実をちゃんと見ましょう、っていう話でした。

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