トヨタ式時間術の落とし穴?効率化の罠と最適解|トヨタ 最強の時間術 :レビュー

書評

うーん、この本の内容って、要は「時間を無駄にしないで効率よく働こうね」っていう話なんですよね。でも、それって結局、「頑張れば成功できる」みたいな精神論と何が違うの?って思うんですよ。トヨタのやり方が有効なのは間違いないんですけど、それが一般の仕事にそのまま適用できるのかっていうと、ちょっと疑問があるんですよね。

  1. 時間の「質」ってそもそも何?
    1. 時間は「命」って言うけど、それってどこまで本当なの?
    2. 1分1秒を積み重ねるのは正しいけど…
  2. 「なぜ」を5回繰り返すことの限界
    1. 「なぜ」を繰り返せば根本原因がわかる?
    2. クリエイティブな仕事に向いてない
  3. 現場主義って本当に正しいの?
    1. 現場を見るのは大事だけど、全部がわかるわけじゃない
    2. 「現場で学べ」がブラック労働を生む
  4. 「ムダをなくせ」って言うけど、それって本当に正しいの?
    1. ムダを全部なくすと余裕がなくなる
    2. 仕事に「遊び」がないとアイデアが出ない
  5. 「秒単位の改善」が生むストレス
    1. 秒単位で改善を求められることのプレッシャー
    2. 時間の「ムダ」と余白の違い
  6. 「全体最適」と「部分最適」のジレンマ
    1. 部分最適を目指すと全体がうまくいかない
    2. 「全体最適」の難しさとリーダーの役割
  7. 情報を「必要なときに必要なだけ」にする難しさ
    1. 情報が多すぎると、結局意思決定できなくなる
    2. 「情報を絞る」ことができる人は少ない
  8. トヨタ式の時間術は「向いてる人」と「向いてない人」がいる
    1. トヨタ方式が合うのは「仕組みで回る仕事」
    2. 時間を削ることが逆効果になる仕事もある
  9. 結局、一番大事なのは「自分に合った時間管理」
    1. 「トヨタ式」だけが正解じゃない
    2. 最適な時間管理は人それぞれ

時間の「質」ってそもそも何?

時間は「命」って言うけど、それってどこまで本当なの?

「時間は命」とか言われると、まあ確かにそうかなとは思うんですけど、だったら仕事だけが人生の全てなのかって話になるんですよね。トヨタのような製造業にとっては、時間の使い方を最適化するのが利益につながるわけですけど、それが全ての職種や働き方に適用できるかっていうと、そうでもないと思うんですよ。例えば、クリエイティブな仕事って、時間を効率的に使うことよりも、じっくり考えることが重要だったりするじゃないですか。そういう仕事にまで「秒単位でムダをなくせ!」って言われても、それって逆に非効率なんじゃないの?って思っちゃうんですよね。

1分1秒を積み重ねるのは正しいけど…

トヨタのやり方って「カイゼン」の考え方がベースになっていて、小さな改善を積み重ねて大きな成果を出すっていうのは、すごく合理的なんですよね。でも、それを全員がやれるかっていうと、現実的には難しいわけですよ。例えば、会社員が毎日の業務で「1秒でも短縮しよう!」って考えながら仕事するのって、結構ストレスになると思うんですよね。で、結局それが続かなくて元のやり方に戻るっていうオチになるんじゃないかなって。

「なぜ」を5回繰り返すことの限界

「なぜ」を繰り返せば根本原因がわかる?

この「なぜを5回繰り返す」っていうのは、問題の本質を見極めるための手法としては結構有名なんですけど、これって万能じゃないんですよね。例えば、「売上が落ちた」→「なぜ?」→「新規顧客が減った」→「なぜ?」→「広告の効果が下がった」→「なぜ?」…みたいにやっていくわけですけど、結局「じゃあどうするの?」っていう具体策が出ないこともあるんですよ。要は、問い続けるだけで解決策が生まれるわけじゃないっていうことなんですよね。

クリエイティブな仕事に向いてない

あと、この方法って、論理的に問題を分析するには向いてるんですけど、アイデアを出すような仕事にはあんまり向いてないんですよね。例えば、「なぜこのデザインは良くないのか?」って考えても、直感的な部分が大きいから、「なんとなくダサい」とか「カッコよくないから」みたいな曖昧な答えになるんですよ。そういう場合に「なぜ?」を繰り返しても、根本的な改善にはならないことが多いんですよね。

現場主義って本当に正しいの?

現場を見るのは大事だけど、全部がわかるわけじゃない

トヨタの「現地現物主義」っていう考え方は、要するに「机上の空論じゃなくて、現場を見て判断しろ」ってことなんですよね。まあ、これは正しいと思うんですけど、逆に言えば「現場に行かないとわからない」っていう前提になっちゃうのが問題なんですよね。例えば、データ分析を活用すれば、現場を見なくてもある程度の改善点が見えてくることもあるわけで、現場を見ることだけにこだわるのは、逆に非効率なんじゃないかと思うんですよね。

「現場で学べ」がブラック労働を生む

それに、日本の企業って、この「現場主義」を都合よく使うことが多くて、「現場で覚えろ!」とか「体で学べ!」みたいな精神論になりがちなんですよね。結果として、「長時間労働してでも経験を積め!」みたいな文化が根付いちゃうわけで、それってもう時代遅れなんじゃないの?って思うんですよ。要は、「現場を見ろ」っていうのはいいんですけど、それを理由に論理的なアプローチを無視するのはナンセンスだと思うんですよね。

「ムダをなくせ」って言うけど、それって本当に正しいの?

ムダを全部なくすと余裕がなくなる

トヨタの「ムダ取り」っていうのは、要するに「無駄な時間を減らして効率を上げろ」っていう話なんですけど、これって突き詰めると、ギリギリまで効率化を求めることになるんですよね。で、そうなると何が起こるかっていうと、ちょっとしたミスやイレギュラーが発生したときに対応できなくなるんですよ。例えば、トヨタの生産システムって「ジャスト・イン・タイム」っていう方式を取ってるんですけど、これって在庫を極限まで減らすから、ちょっとでも部品の供給が遅れると生産がストップしちゃうんですよね。要は、「ムダをなくす」っていうのはいいんですけど、それが行き過ぎると逆にリスクが増えるんですよ。

仕事に「遊び」がないとアイデアが出ない

あと、「ムダをなくす」っていうのは、確かに短期的には効率的になるんですけど、長期的に見ると、仕事に余裕がなくなって、新しいアイデアが生まれにくくなるんですよね。例えば、Googleとかって、社員に20%の時間を自由に使わせる「20%ルール」とかやってるじゃないですか。あれって、要は「ムダに見える時間が、実は新しい価値を生むこともある」っていう考え方なんですよね。だから、「ムダをなくせ!」っていうのを徹底しすぎると、逆に創造性が失われるんじゃないかと思うんですよ。

「秒単位の改善」が生むストレス

秒単位で改善を求められることのプレッシャー

トヨタの時間術では「秒単位でムダをなくせ」っていう考え方が強調されてるんですけど、それって現場の人にとってはかなりのストレスになるんじゃないかと思うんですよね。例えば、工場の作業員が「この動作を0.5秒短縮しろ!」って言われ続けると、確かに生産効率は上がるかもしれないですけど、精神的にはかなりキツいんですよ。で、そういう環境だと「もっと効率を上げなきゃ!」っていうプレッシャーがかかりすぎて、逆に仕事がつまらなくなったり、燃え尽きちゃったりするんですよね。

時間の「ムダ」と余白の違い

それに、「ムダをなくせ!」っていうのと、「余白を持たない」っていうのは違うんですよ。例えば、仕事のスケジュールをギチギチに詰め込んで、「無駄な時間を削減した!」って喜んでる人がいるんですけど、実際にはそれって余裕がなくなって、ミスをしたときにリカバリーできなくなるんですよね。結局、効率化しすぎると、そのぶん柔軟性がなくなるっていう問題があるんですよ。

「全体最適」と「部分最適」のジレンマ

部分最適を目指すと全体がうまくいかない

トヨタ式では「部分最適ではなく全体最適を目指せ!」って言われるんですけど、これって結構難しい話なんですよね。例えば、ある部署が「ウチはめちゃくちゃ効率化できました!」って喜んでても、全体のバランスが崩れたら意味がないわけですよ。よくあるのが、「営業部は短納期で受注を取りまくるけど、製造部が対応しきれない」とか、「製造部は効率化を進めたけど、品質管理が追いつかなくなる」とか、そういう現象なんですよね。

「全体最適」の難しさとリーダーの役割

全体最適を実現するには、経営者やマネージャーが「どこにリソースを集中させるか?」っていう判断をしなきゃいけないんですけど、これができる人って意外と少ないんですよね。日本の企業だと、どうしても「目の前の問題を解決すること」に集中しちゃって、長期的な視点でバランスを取るのが苦手なケースが多いんですよ。だから、「全体最適を目指せ!」っていうのは理想なんですけど、それを実現するには相当なマネジメント能力が求められるんですよね。

情報を「必要なときに必要なだけ」にする難しさ

情報が多すぎると、結局意思決定できなくなる

トヨタの考え方として「情報は必要なときに必要なだけ」っていうのがあるんですけど、これって意外と難しいんですよね。今の時代、メールとかチャットツールとかで、情報がどんどん入ってくるわけですよ。でも、それを全部処理しようとすると、逆に本来の仕事に集中できなくなるんですよね。で、結局「情報が多すぎて決められない」っていうパターンに陥るんですよ。

「情報を絞る」ことができる人は少ない

それに、「必要な情報だけに絞る」っていうのも、実際にはかなり難しいんですよ。例えば、上司が「これも知っておいたほうがいいよ!」ってどんどん資料を送りつけてくると、部下はそれを無視するわけにもいかないし、かといって全部読んでたら時間が足りないんですよね。だから、「情報を適切にデザインする」っていうのは理想なんですけど、実際には現場で実行するのがすごく難しいんですよ。

トヨタ式の時間術は「向いてる人」と「向いてない人」がいる

トヨタ方式が合うのは「仕組みで回る仕事」

トヨタの時間術って、基本的に製造業とかルーチンワークに向いてるんですよね。作業の流れが決まっていて、それをどう効率化するか?っていうのが重要な仕事には、トヨタ式の考え方はすごく有効なんですよ。でも、例えばデザイナーとか研究者とか、あるいはマーケティングみたいに「試行錯誤が必要な仕事」に関しては、この方式があまり向いてないんですよね。

時間を削ることが逆効果になる仕事もある

例えば、作家とかアーティストの仕事って、「無駄な時間」がむしろ重要だったりするんですよね。ずっと考えててもいいアイデアが出なくて、散歩してたら急に思いつく、みたいなことってよくあるじゃないですか。そういう仕事に対して、「時間を秒単位で管理しろ!」って言われても、それって逆に生産性が落ちる可能性があるんですよね。

結局、一番大事なのは「自分に合った時間管理」

「トヨタ式」だけが正解じゃない

この本の内容を見て思うのは、トヨタの時間術って確かにすごく論理的で、効率化には効果的なんですけど、それが全員にとって最適な方法かっていうと、そうじゃないんですよね。仕事の種類によっては、「ムダ」に見える時間が実は価値を生むこともあるし、厳密に時間を管理するよりも、ある程度の余白を持たせたほうがいいケースもあるわけですよ。

最適な時間管理は人それぞれ

結局のところ、「どういう時間の使い方が自分に合ってるのか?」っていうのを考えるのが、一番重要なんじゃないかと思うんですよね。例えば、「ルーチンワークが多い仕事ならトヨタ式が合う」とか、「クリエイティブな仕事なら、ある程度の余裕を持たせたほうがいい」とか、そういう判断ができるかどうかが大事なんですよ。要は、「この方法が絶対正しい!」っていう考え方を押し付けるんじゃなくて、自分に合った時間術を見つけるのがベストなんじゃないかと思うんですよね。

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